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へら鮒 2018年3月号 へら鮒
2018年3月号
一景アドバイザー吉田新太郎が、真冬の筑波湖を攻略

今回は、一景アドバイザーを務める吉田新太郎が真冬の筑波湖で釣る!16尺いっぱいのウドンセットを選択した吉田は、「荒粒ペレット」、「MB 荒麩バラケ」、「提灯ダンゴ」という、とてもシンプルな配合のバラケを打ち込んだ。ウキはすぐに動いたが、どうしてもアタリが遅い。「へらの活性が低い厳寒期はよりタイトに攻めていくこと」と、小バラケでへらを凝縮しながらアタリ数を増やしていったが、次第に風流れがアタリを消し去る。さらには冬の釣りの大敵である「下ズリ」が待ち構えていた。さて、どうする? この危機的状況を吉田はシンプルなバラケの手直しだけで、見事に対応してみせた。釣りはなにも難しく考えることはない。このことは、これからの厳寒期の釣りで、きっと役立つことであろう。

Photo & Text by Kazuaki Morotomi

取材協力:筑波湖
〒300-4513 茨城県筑西市中根832
TEL:0296-52-5444

広松久水産株式会社
〒 813-0018 福岡市東区香椎浜ふ頭2-3-24
TEL:092-672-1017
http://ikkei-jpn.jp/

よしだ しんたろう 1949年生まれ
へら暦40 年、へら鮒釣りの全てを知り尽くすベテランアングラー。己の理念を追求し、一線級が揃う所属クラブにて長年に亘り真剣勝負し、日々釣技に磨きをかける。また、いち早く自らのクラブを立ち上げ、後輩の指導にも大いに力を入れている
ビッグへら鮒会、FB クラブ所属 TEAM 剛 会長
一景アドバイザー

吉田がお勧めするシンプル配合バラケ 「荒粒ペレット」30cc「MB 荒麩バラケ」100cc 水100cc「提灯ダンゴ」200cc

16尺チョーチンシンプル

1月10日(水)、茨城県筑西市にある筑波湖へ。前日は季節外れとなる春の陽気。そして、また真冬へと逆戻りという寒さが待ち構えていた。この気温変化が大型べらに与える影響はとてつもなく大きい。

吉田は筑波山をバックに2号桟橋先端付近に入釣し、「かなり冷え込んだから」と16尺竿を継いだ(タックル図参照)。深めのタナをウドンセットで攻め、大型べらの機嫌を窺うのだ。

「自分の釣りの信条は以下の『スリーS』だよ」と、いつも吉田は口にする。
【スピード】人よりも多く釣るためには、当然ながら速い釣りが必要不可欠となる
【スタイル】美しくスマートに流れるような釣り姿。一流と呼ばれる釣り人は、誰もが動作がとてもスムーズである
【サイエンス】当日の気候や混雑具合などを踏まえた、より的確な状況判断を行う

まだ凍てつく桟橋へと、バッグから取り出された一景のバラケ用のエサは3品。
その配合は…。

●「荒粒ペレット」30cc
●「MB荒麩バラケ」100cc
● 水100cc
●「提灯ダンゴ」200cc
※下段エサ作り参照
●クワセは「粘軽うどん」。粉20cc
を水30ccシェイク作り

硬いお麩へと、しっかりと水分吸収させること

1. まずは「荒粒ペレット」を30cc 2. 次に「MB 荒麩バラケ」100ccを入れ、軽く撹拌する 3. 水を100cc入れる 4. 軽く10 回ほどかき混ぜ、ドロドロの状態で5 分以上放置し、「荒麩バラケ」に入った硬いお麩 へとしっかりと水分を吸収させる 5.「提灯ダンゴ」を200cc入れバラケまとめ上げる 6. 手を熊手状にしてして丁寧に30 回ほどかき混ぜる 7. 仕上がったシットリボソタッチのバラケを別ボウルに半分に分けて使用

「まずはこの3品で入っていきます。というよりも、これが完璧なチョーチン用のバラケエサで、もうこれしか使わないかな。みなさんにも、ぜひとも試してもらいたいバラケなんです」

とても分かりやすい配合で、しかも使いやすいバラケ。となると、吉田の釣りの信条にもうひとつの「S」、「シンプル」も付け加えておくことにしよう。

作ったバラケはそこまで比重は重くはないが、比較的粘り気が強いというもの。深めのタナを攻めるだけに、「バラケを確実に届ける」、「タナまできちんと持たせる」という意図が非常に明確である。

「ほらっ」と手渡されたバラケは水分が多めであったが、驚くほど丸めやすかった。集魚力が抜群の「荒粒ペレット」、荒いお麩が大量に入っていて猛アピールする「MB荒麩バラケ」を、粒子が細かい「提灯ダンゴ」でまとめ上げることで、タナまで持たせてやるのだ。丸めやすく、ハリ付けしやすい、さらには調整が簡単なこのバラケは、上層から煙幕状に糸を引くようにバラけていった。

竿16尺 ウキ「淳作」ボディ10cmのPCムクトップ。エサ落ちは11目中、クワセを付けて4目盛沈め 道糸1.0号 ハリス0.4号 15-60cm 入り ハリ「グラン鈎」上5号、下3号

バラケは一景「荒粒ペレット」30cc、「MB荒麩バラケ」10cc、水100cc、「提灯ダンゴ」200㏄
筑波湖、2号桟橋奥
16尺いっぱいのウドンS

厳寒期の釣りのキモは、攻め過ぎないこと!「もうかれこれ40 年もへら鮒釣りをやっていて、一景のような強烈な集魚力は初めての経験」

驚異の集魚力攻め過ぎない

「とにかくウキから目を離してはダメだよ。一景のエサはいきなりウキが動くから」と、吉田は1投目からウキへと鋭い視線を向ける。
「釣れる釣れないはともかく、とにかく2~3投でウキが動く。特に『MB荒麩バラケ』の集魚力はもの凄いからね。もうかれこれ40年へら鮒釣りをやってきて、こんな強烈なのは初めての経験だよ!」

この驚異の集魚力は、へら鮒釣りを知り尽くした大ベテランを唸らせるほどなのだ。エサは小バラケ。しかも、丸く丁寧に丸められた。
「厳寒期でもあるし、へらを寄せる幅を狭くして釣っていきたい。これを大きめのバラケを打ってバラけさせ過ぎてしまうと、へらの口は離れてしまいアタらないどころか、肝心のサワリすら出なくなる」

確かに、2投でサワった。そして、3投めにはナジミ際に「フカ、フカッ」と1目盛が上下動する。「ほら、言ったとおりでしょう」と、吉田は微笑みながらも、釣り自体はとても慎重に構えた。
「こういう時こそ、落ち着いてじっくりと攻めていくこと」

ウキがすぐに動いたからと喜び、ガンガンとエサを打ち込むことはなく、ここではむしろ逆に、ウキを必要以上に動かすことはしなかったのだ。
「とにかく攻め過ぎたら、途端にバラけた粒子ばかりを吸われてしまい、それで終わりとなってしまう」

厳寒期の釣りは攻め過ぎないこと。これが最大の急所である。だけに、バラケは「提灯ダンゴ」多めでまとまり感を強めているのだ。ウキのナジミ幅は4目盛ほど。そこから「ジワジワ」と返されてくる。吉田は奇をてらうことなく、あくまでオーソドックスな釣りから入り状態を見極め、釣りを組み立てていく。

強い流れがつくと、浅ダナ?という極小バラケで対応 一景のエサ幅の広さを最大限に利用し、軟らかいバラケを手水で調整。さらにアマいエサを「半抜き」で釣っていく

前日から打って変わった強い冷え込み。そして、風流れに見舞われながらも、吉田は雄大な筑波山をバックに安定して竿を曲げていく

次第にアタってきたが乗らない。返す途中のいい位置でアタってきても、なぜかカラになってしまうことが多い。そこで、バラケへと少量の手水を打ち軟らめに調整。バラケのシットリ感を強めることで、無駄に横方向へとバラけ過ぎている粒子を抑えてやるのだ。この対応でパタパタと3枚を釣るが、アタリ数はまだそこまで増えてこない。もうしばらくの辛抱かと思っていると、悪いことに次第に風が強まってきて、右手へ「ジワリ」と流されるようになってしまった。
「へらは若干上にいるようだね」

ウキを深くナジませてからの反応が極めて弱いため、2目盛ほどをナジませてから「スッ」と上がってくるという「半抜き」へとシフトして釣っていくことにした。そのバラケの調整も、アマアマのバラケへとさらに手水を打つだけで可能。
このように一景のエサ幅はとても広い。

強いサワリが出るが、アタるまでが今イチ遅い。いわゆる「間が空いてしまう」という状態である。「バラケが微妙に硬いか?」と、さらに手水で調整。しかしながら、次からはカラツンが続いた。吉田は「さぁ、ここからだ!」と、ついに戦闘モードに切り替える。釣り込んでいくためには、まずはこうしてカラツンを出すことなのだ。ウキは「モコモコ」と持ち上げられ、そこから「ムズッ」。これで40cm級が上バリを咥えて上がってきた。
食い気があるへらを厚く寄せ切ったため、こうしてバラケへの反応もとても強くなった。次投はナジみきる寸前に「カチッ」と落とされ、なんと連チャンを決める。

朝イチから決して焦ることなくへらをタイトに集めているからこその連チャンだろう。そして、アタリっきりとなる。
このままのリズムで釣っていきたいが、さらなる強い風流れが吉田の決まりかけた釣りの邪魔をする。時にウキは「スーッ」と1mも流されてしまった。一瞬でも流れが弱まればアタる。だけに、なんとも、もどかしい状態が続いた。

すると「浅ダナか?」と、目を疑うほどのさらなる小バラケを打ち込んでいく。
それに伴い、下ハリスを5cm詰め、55cmでアタらせていくのだった。

下ズったら、「細粒プロテイン」でタナを上げてやる

これからの厳寒期は、釣れなくなってからの対応が、釣果を大きく左右する

下ズリ「細粒プロテイン」

「ポコポコ」

ウキ下からアワヅケが出る。さすがにへらはタナへとガッツリと溜まってきたのだろうか?
「いや、これは下ズリのサイン。この厳寒期特有でもある下ズリは最も注意したい現象。冬は持ち過ぎだと下ズってしまうだけ。また、速い釣りの人ほど次第に下ズらせてしまうという恐れがあるんだよ」

活性が落ちきって動きたくないへらは、ウドンの位置よりも下という一番安全な場所で落下してくるバラケの粒子を悠々と吸っているだけなのだ。この厄介な状態への吉田の対応は、「細粒プロテイン」25ccをバラケへと絡めるということだった。しかし、これでは逆に下ズリを助長してしまうのではないか?
「どうしても勘違いしてしまいがちだけど、この『細粒プロテイン』の細かな粒子はタナで漂うんだ。その漂いでへらをタナへと引き上げてやる」

その「細粒プロテイン」を絡めたバラケを打つと、なんと2投でウキがつっかえるようになった。こうなると、へらの口がかなり上に向いている状態だ。
「アタって釣れている時は誰でも釣れるんです。でもこうして一旦釣れなくなってしまったのを訂正することが出来るかどうかが、特にこれからの厳寒期には釣果を大きく左右するもの。これが、1枚でも、2枚でも多く釣るための方法だよ」

粘軽うどん

●標準のエサ付け。これでもかなり小さめのバラケである。当日はここから2~3段階とさらに小さめで釣っていくことになった
●「粘軽うどん」は、ポンプの口を大、中、小と大きさを調整したものに入れ使い分ける。「大きな穴の方がより平べったく「いびつ」にこそぎ取ることが可能」と、吉田

しかし、今日の手直しは「手水」、そして「細粒プロテイン」を絡めるという、たった2とおりだけ。これだけで釣れるようになるのだ。

午後からは、さらに小バラケで釣っていくようになった。
「もうタナでちょっとバラけるだけでいい。その分、テンポいいエサ打ちを繰り返していくこと。そしたらタナへと残っているバラケで釣れてくるよ」

だからこそエサ切りのタイミングが非常に大切となる。小バラケでサワらせ、ナジみきってしまうと、よほどウキの動きが出なければ3~4秒でエサを切る。真冬でも釣れる時はアタリが出るのは早いということを頭に入れて釣りをすることが肝心で、アタリを待ってもいいことはない。このエサ切りが無駄になっているかというとそうではなく、前記したように、エサを早く切っていくことで確実に次投へとつながるのである。というよりも、「この次投で仕留める」ということなのだ。
「決して無駄打ちはないこと。真冬は下ズらせてしまうよりも、ウワズらせた方がいい。水温も5℃を切っているんだよ、へらの動きが活発であるはずがないよ。逆にウワズらせてみなよって感じかな」

キツい流れの中、吉田は最後の最後まで小バラケを駆使しながら、本当にしぶとく竿を曲げ続けたのだった。

細粒プロテイン

吉田も一押し! このとても特徴あるエサ「細粒プロテイン」を上手く使いこなすことで、間違いなく釣果は倍増する!