話題のニューブランド「一景」で釣る!!今回は、一景アドバイザーを務める高久勝俊が登場する。6月7日(水)、茨城県つくば市にある筑波白水湖で、新エサ「SD 蒼天(そうてん)」を使い、浅ダナで釣り込んでもらった。高久は強いこだわりを持った「頑固な釣り人」である。しかし、そこには「より簡単に釣りたい」という、純粋な考えが存在しているのだ。だけに釣れ出したら止まらない。高久は「SD 蒼天」単品を様々なタッチで作っていき、当日の正解を徐々に見つけ出していく!
Photo & Text by Kazuaki Morotomi
取材協力:筑波白水湖
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広松久水産株式会社
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「蒼天」単品良型が釣れる
南からの強風の予報に、高久は中央桟橋事務所を背にした中央付近に入釣する。タナ規定がない白水湖。竿9.5尺を継ぎ、チャカウキはタナ50cmの位置に装着された(タックル図参照)。そして、新エサとなる「SD蒼天」を単品で作った。
●「SD蒼天」4に水1を入れかき混ぜて、全体に水分を行き渡らせた後、「SD蒼天」1を軽く絡めて仕上げたもの
「この『SD蒼天』は生麩の状態がとても長く残ります。そしてしっかりとした粘り気があり、軟らかい状態でもきちんと芯が残るんです」
エサ作りの最中、高久は時に大きく頷く。この新エサにかなりの手応えを感じているようだ。まずは余分な手を加えることなく、この「作りっぱなしの状態」で打っていく。セミカッツケらしく、開始から超高速回転のエサ打ちが続いた。へらの湧きが強くなりタナが上がるならば、それこそハリスカッツケにまでタナをどんどんと上げるだけ。もうガンガンに釣り込んでいけばいいのだ。これが釣り本来の姿であろう。そしてこの釣りには「SD蒼天」の特長が見事にハマっている。
エサは一景「SD蒼天」単品
「SD蒼天」4に水1、「SD蒼天」1
筑波白水湖・中央桟橋
竿9.5尺タナ50㎝の両ダンゴ
「お麩が軟らかくゴソッと感がない。フンワリとしていてとてもよく膨らむから浮力も強い。さらにはマリモ状に膨らむことでハリにまとわりつき、ハリ持ちよくへらの食い気をサソいます」
これで釣れないわけがない。ウキのトップは、水面に先端から2目盛を残す位置まで深くナジみきった。もちろんこれば意図的なもの。
「打ち始めは先端から1目盛くらいまでしっかりとナジませて、エサを持たせたい。最低でも今ぐらいまではナジませてやること。まだアタらないという状態でナジミ幅が浅いというのは、間違いなく後々釣りづらくなるだけですからね」
ウキのナジミ幅がアマくなる。このへらの寄りを察知すると、手を熊手状にしてエサを40回ほど高速でかき混ぜた。ここでは混ぜるだけ、決して練ることはしない。すると、ウキのナジむ速度が上がり、再びトップ先端から1目盛残しまで深くナジみきった。まずはこの状態をキープすることが釣るための第1段階なのだ。
「SD 蒼天」単品の作りっぱなしのエサから打ち始め、そして釣る。変わり始める状況に合わせて、ここからエサを動かしていくのだった
ウキはナジミ際に「フワッ」とサワられた。へらは寄って来たが、食い気がないのか、アタっても弱々しく乗ってこない。カラが続いた。そして、そのアタる位置もとても不安定だ。
「へらは上みたいだから浅くしてみます」と、タナをウキ1本分浅くした。するとウキの肩で「フカ、フカッ」と強くサワられ、ナジんで「ズバッ」と鋭いアタリで釣れてきた。泣き尺が水面を割る。次投もナジんだ位置から間髪入れず強烈に消し込んだ。
「この釣り方が一番アタリが持続する」 完全なカッツケ釣りなら「触れ」など、様々なアタリで釣っていくのだろうが、タナを取っているため確実に釣れ続くアタリを選んでいく。そして、その「持続するアタリ」は深くナジんだ位置からのものなのだ。「SD蒼天」単品作りがいきなり決まった。しかし、このまま簡単に釣り続くほどへら鮒釣りは甘くない。次第に上層でのへらの攻撃が勢いを増していった。
「今はエサが『弾けている状態』。だけに上層にエサが残りすぎている」
高い位置での不用意なエサ切りはさらなるウワズリを招いてしまう。高い位置のアタリは完全に送って、深い位置のアタリだけにアワせていくが、その確実なアタリも出たり出なかったりと安定さを欠くようになってしまう。これでは釣り込めない。
「エサが膨らみすぎている。作りっぱなしではこうなってしまうんです」
へらの活性は高い。それも高久が思い描いていた白水湖のへらよりもひと回り、いや、ふた回りも大きなへらの猛烈なアタックだけにエサが肝心なところで持たず、アタりそうでアタらない。そこで…。
●「SD蒼天」4に水1を入れ、軽くかき混ぜた後、30回ほど練りを加えながらかき混ぜる。そして手水でペトコン状態にまで戻してさらに20回ほど練り込んだ。こうして練り込み、芯を作った戻しエサへと、最後に「蒼天」1を入れ軽くかき混ぜ仕上げる
この戻しエサをしっかりとタナへと入れていく。
「早いアタリに手を出してしまうと、釣れるけれどどんどんとウワズらせてしまいますからね。一定したアタリで釣っていかないと、どうしてもたくさん釣れるというイメージが持てないんです」
こでは「戻しエサ」でタナまでエサを届けるが、高久は「比重が軽い『SD蒼天』なら、さらにエアをたくさん含ませ漂わせながらへらの食い気をサソうことが可能」との説明を追加してくれた。そうなると、日曜などの混雑時やへらの食い気が落ちた状態でも確実にアタリがもらえるのだ。
水面直下に魚影が「チラチラ」と見え隠れしてきた。「ワサワサ」と強く湧いているのではなく、少々警戒しているように数枚がこぼれエサを吸っている感じである。これより浅いタナで釣ることはないようだ。
1.「SD 蒼天」4 2. 水1 を入れ軽くかき混ぜる 3. エサの粒子を潰すように強く30 回ほど練りを加え、手水を打ちペトコンにしたものに20 回ほど練りを加る 4.「SD 蒼天」1 を入れる 5. 軽くかき混ぜ絡める 6. 丁寧すぎることなく、生麩が立った状態に仕上げるのがキモ 7. ハリ付けはチモト部分を軽く3~4回整えるだけ 8. 浅ダナらしく小エサながらも、しっかりと芯残りする
バラケ性を抑えるボソっ気
「予想に反して魚がデカすぎるんですよ」
完全に中小べらの数釣りをイメージしていただけに、嬉しい悲鳴といえばそうだが、高久は少々戸惑い気味。
ウキは強くサワられ「カチッ」と鋭く入る。これで9寸級がタマ網に収まる。傷ひとつない丸々とした身が入っている魚体だ。
「ほら、いいへらでしょう」
その良型を立て続けに引く。
「例会時など人がたくさん入っている状態とは違い、今日は空いているんで、早いアタリに手を出さず我慢して、強いアタリを取っていきます」
しかしながらウキ1本分だが、浅くしたタナでは、次第に糸ズレが多くなり乗りが悪くなった。そこでタナを最初の50cmに戻す。すると1投目でナジミ際にアタって尺級が乗ってきた。食い気のあるへらはこのタナに多いようだ。次にエサを手水で軟らかくし、バラケ性を抑える。
「ほどよい活性があるだけに、あんまりバラケ性が強いとよくないですね」
必要以上のバラケ性は、へらを無駄にハシャがせてしまうだけで釣りづらくしてしまう。そして、ここからまた連続で竿が曲がり始める。ナジんで「ズバッ」という、高久の狙いのアタリで良型が揃った。
こうして「パタパタ」と釣り込んでいたが、今度はアタリが飛ぶようになる。バラケ性を抑えたエサでは釣り込むことは可能だが、釣ってへらを抜いてしまうだけに、どうしても寄りをキープすることが難しくなるのだ。もう少しバラケ性が強くないとへらの寄りは薄いまま。そこで、エサへと手水を打ち、もう1段階軟らかくする。これを深く入れてアタらせていくが、カラ。
「まだへらに落ち着きがないということ。これならナジんでいく途中のアタリの方が乗るかな。本当はナジんで『ドン』というアタリで乗ってくるんだけれど、今のところ、多分、糸ズレですね」
「いやー、引きが強いよ!」と、高久が驚くほど白水湖のへらの状態はよかった。この高活性べらがエサへと猛アタックして来るのだ。持たせるためにはひと工夫が必要になる
さて、高久の次の一手は? ここからどうやってイレパクへともっていくのだろう。興味津々だ。釣れているへらはガンガンと強引しとても活性は高いのだが、型がいいだけに妙に気難しい。上層にへらがいることはいるが、そうたくさんはいない。だから早いアタリは出たり出なかったり。
「だからと(へらがタナへと下がらないから)、ハリスを伸ばして追わせて釣るという方法もありますが、それは自分の釣りではありません」
短バリスで強いアタリを出して釣る。これが高久が求めるストロングスタイル。だからこそ、ここはエサでなんとか対応するのだ。
「エサをもっと硬くしてみましょう」
長めのハリスで追わせながら釣るという方法もあるが、高久は20-27cmという短バリスの設定を崩すことはしない。そこには「より簡単に強いアタリで釣っていく」という、長年の釣り人生で培われた、高久の両ダンゴの釣りにおける強い信念が存在しているのだ
●「SD蒼天」4に水1、「SD蒼天」2で練ることなく仕上げる
「硬めのボソエサは強く膨らんだ状態で芯を作ります」
これで「ズバッ」と強烈な消し込みアタリが出て釣れ、急激なペースアップを成功させたのだった。
「ボソの利点は寄せながら釣ることが出来ること、アタリがしっかりとしていること、そして型がいいことです」
そう高久が言うように、水面を割って来るへらはさらにひと回り大きくなった。
「絶対的に練ったエサよりもボソの方が型がいいんです」
ナジんで「ズバッ」。釣り始めからこれが絶対的な基本のアタリだ。エサが硬いだけに早いアタリは乗らなくなるので、これからは完全に送っていく。しかし、ここまで硬くしてしまうと確実に芯は残るがどうしてもカラが多くなってしまった。少量の手水を打ちエサ全体を熊手状にしてかき回し、水を行き渡らせる。この手直しを2回、そして3回と繰り返し、徐々に軟らかくしていった。しかしながらここで注意したいことがひとつある。ここでの手直しのキモは「ボソっ気を完全に失わせない」ということ。軟らくしていくと弾ける麩の量が少なくなってしまう分、どうしても持ちすぎるようになってしまうのだ。
さて、ここまでエサを合わせると、高久はウキを付け替えた。
「今までウキはアタリ返しを取ってもカラが多かった。それは浮力が強く弾み加減でエサが落ちついていなかったから。今度のウキは肩の張りもなだらかで、トップも短め、ウキの重心は低いんです。言い換えればナジみ込みやすいウキですね。今の状態には合っているはずです」
これで、すんなりとナジんで「ドカッ」と強烈なアタリで釣れてくるようになり、午前中に50枚近くまで数を伸ばしたのだった。
右が最初に装着した「光作 百舌鳥」。そして、付け替えたのが「孝舟」ボディ4.5cmのパイプトップ。当日の状態では、エサをよりスムーズにナジみ込ませるという形状のウキが求められた
高久は試行錯誤しながらも、硬めのボソっ気というタッチに当日の答えを見いだした。ひと言に「単品」と言っても、ヤワからボソまでその作り方でまったく違った幅広いタッチのエサが出来上がり、その時々の状況に応じて、様々なアプローチが可能となる「SD蒼天」を使い変幻自在のエサ使いを見せてくれた。さすが高久という素晴らしいエサ合わせであった。
が、ここであっさり終わるほど、高久はまだ満足してない。午後からは、さらなる型物狙って、なんとペレ宙をやり始めるのだった。
ダンゴエサでは時に目まぐるしく変化する状況に応じて、頻繁に手直しを加えながら釣っていくことが求められる。それを高久は「SD蒼天」ポテンシャルをこれでもかと引き出すことで、単品のみで完全に対応してしまった
「荒粒ペレット」大型揃う
「沖目でへらを釣り分けてみたい」と、「荒粒ペレット」を使ったペレ宙を試す。
継いだ竿は15尺。タナ1本半に「光作 百舌鳥」7番(ボディ7cmのパイプトップで、エサ落ちは2目盛沈め)が装着された。ハリは「バラサ」6号、ハリス長はここでも変わらず20-27cmという頑固さである。
そしてエサは…。
●「荒粒ペレット」0.5
●水1
●「SD蒼天」2を入れ練りを加えた後、水0.5で戻して、再び「SD蒼天」2
深く入って、そこから強くサワられ「ズバッ」。いきなり尺上が釣れてきた。手前に居着くへらとは、大きさもそうだ明らかにへらそのものが違っていた。
「デカいですね。これならペレットでやる意味があります」
沖目にはコンディションがいい大型が居着く。そのため、アタリはとても素直だ。アタれば乗ってくる。手前の浅ダナで苦労したのがウソのように「ズバッ」と毎回のようにアタってきた。
「下にいる大型を意識しすぎてしまい、ウキをすんなりと入れすぎないこと。そうしてしまうと意外にアタリをもらえません。上層のへらを上手く使い、アタらせつつ『ドン』というアタリを狙います。こうしてアタらせながら空振っている方がエサの対応もしやすいですからね。単純にナジんでからのいきなりアタリでは、おそらくアタリは続きませんよ」
1. ペレットは「荒粒ペレット」を使用 2.「荒粒ペレット」0.5 を水1 でしばらく浸す 3. 十分に水を吸収させた後、「SD 蒼天」2 を入れかき混ぜる 4. お麩が全体に絡んだら、そこから強く練り込む 5. ペレットの粒が潰れた状態にすること 6. 水0.5 を入れ、一旦、ペトコンに戻す 7.「SD 蒼天」2 を入れる 8. 軽くかき混ぜ、お麩を全体に絡める 9. 生麩が立った状態のまましっかりと残っているように仕上げること 10. これで、軟らかくしてもしっかりと芯残りするエサが出来上がる 11. エサ付けは浅ダナの時よりもひと回り大きめで、ラフ気味である
水中は上層に小振りなへら、その下(タナ)に食い気がある大型がという図式になる。そして、カラも少なく、2時間ほどで30枚を釣るという、これまた見事な釣りを見せてくれた。
「釣りは難しいよりも簡単な方がいい」と、高久は少しはにかみながらも、ペレ宙で仕留めた大型を大事そうにそっと持ち上げてくれた。