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へら鮒 2017年5月号 へら鮒
2017年5月号
話題のニューブランド「一景」で釣る!! 名手がワンステップ上のエサ使いを伝授 両ダンゴ 早春におけるダンゴエサのキモとは?

話題のニューブランド「一景」で釣る!!

今回は、一景アドバイザーを務める吉田新太郎が登場。3月16日(木)、茨城県結城郡八千代町にある筑波流源湖で、いち早く両ダンゴの釣りを披露してもらった。が、前日には関東地方になごり雪が舞い、当日も早朝はかなり強い冷え込みに見舞われてしまう。それでも吉田は「ダンゴの時期はダンゴで!」と、「セットダンゴ」と「底麩ダンゴ」を配合した基本エサを、まったく躊躇することなく打ち込んでいった。そして、早春の気難しい大型べらを相手に、平然と両ダンゴを決めにかかるのだった。

Photo & Text by Kazuaki Morotomi

取材協力:筑波流源湖
〒300-3512 茨城県結城郡八千代町大字小屋210
TEL:0296-48-2960

広松久水産株式会社
〒 813-0018 福岡市東区香椎浜ふ頭2-3-24
TEL:092-672-1017
http://ikkei-jpn.jp/

よしだ しんたろう 1949年生まれ
東京都葛飾区在住
「江戸川でコイ釣りやってたら、赤べらが釣れちゃったんだよ。 最初なんだか分からなくて、近くで釣りしていたおじさんに訊ねたら、 『へらは水元内溜に行けばたくさん釣れるよ』と言われて、そこから水元通い(笑)」 吉田はその水元内溜で北野深水氏に出会いへら鮒釣りのイロハを教わる。 次第に日研の支部などに顔を出すようになり実力をつけ、 関東へら鮒釣研究会に入会。さらに競技の釣りに没頭する。 そして、水元へら鮒センターで小池忠教氏に出会い、 30 歳後半にビッグへら鮒会へと入会、今に至る。 「そこからが地獄の始まりだよ(大笑)」
ビッグへら鮒会、FB クラブ所属 TEAM 剛 会長 一景アドバイザー

「セットダンゴ」の軽さと粘り気と、「底麩ダンゴ」の比重を利用する。その基エサは…「セットダンゴ」2+「底麩ダンゴ」1+水1

竿11尺いっぱい釣ってやる!

到着した筑波流源湖の桟橋は、驚くことに霜が降り真っ白。その「まだ冬」の光景は、「本当に両ダンゴで釣れるのか?」と、思いっきり心配するに十分すぎた。

吉田は所々に氷が張っている桟橋をゆっくりと進みながら、浜の辺桟橋の手前、西向きに入釣。当然、寒い。が、風はない。なごり雪が舞った前日とは打って変わって気温は上昇し、春の陽気に包まれる予報である。しかしながら油断は禁物、この「急激な気温変化」ほどへらの口を閉ざすものはない。今日はとても厳しい釣りになりそうだ。

それでも吉田は「両ダンゴで釣る!」と静かな水面を見据える。なんという意志の固さ。しかしながら、セット釣りであろう先釣者たちのウキを見ても、まったく動いていなかった。

バッグから「セットダンゴ」、そして「底麩ダンゴ」が真っ白な桟橋へと取り出された。継いだ竿は11尺(タックル図参照)で、いっぱいのタナを狙う。

●「セットダンゴ」2
●「底麩ダンゴ」1
●水1
※エサの作り方はページ中盤を参照

「この基エサからヨーイドンです」

とてもシンプルな基エサを作った。この2品を選択した理由は?
「比重が軽くて、粘り気が強い『セットダンゴ』をベースとし、チョーチンと若干深めのタナであるため、『底麩ダンゴ』で多少の比重をつけてやる」

その考え方も極めて分かりやすい。この早春(状態とすればまだ冬だが)におけるダンゴエサには、いったいなにが求められるのだろう?
「まだまだへらの活性は低く、エサの追いはとても鈍い状態。だからこそ比重が軽いエサでウケさせていく」

こんな活性が低い状態でも「ウケ」させながら釣っていくことには変わりがないのだ。
「これはなにも両ダンゴの釣りだけではなく、全ての釣り方に共通することだけど、ウケさせ、サワらせ、トメられて、そして、そこから次の動きで釣っていく。いやー、でも今日はどう考えても無理でしょうと誰もが思うだろうね。でも、釣ってやりますよ!」

吉田はダンゴの時期はダンゴで釣る。それが例会でも、なにひとつ物怖じすることなく両ダンゴを打つという、根っからのダンゴマンなのだ。だけに、今日は、いくら厳しい状態だろうが、なにがなんでも釣ってくれることだろう。

ウキは自作で羽根一本取りボディ8㎝のパイプトップ  エサ落ちは4目盛沈めに設定 道糸1.0号 ハリス0.4号 55-65cm ハリ「ダンゴヒネリ」5号

エサは一景「セットダンゴ」2+「底麩ダンゴ」1+水1
筑波流源湖・浜の辺桟橋
竿11尺いっぱいの両ダンゴ

早春の筑波流源湖を両ダンゴで釣る。前日は雪、そして当日の早朝も気温はマイナスだっただけに、当然、ウキはしばらく動かないだろう、そう思っていたが…

早春の筑波流源湖を両ダンゴで釣る。前日は雪、そして当日の早朝も気温はマイナスだっただけに、当然、ウキはしばらく動かないだろう、そう思っていたが…

「まだ冬」の状態でも躊躇することなく両ダンゴを打つ。まずは「MB 荒麩バラケ」を絡め、バラケ性を強めていったが、状態は好転しなかった。

「MB荒麩バラケ」ついに食わせる

「底に起伏があるため、タナはある程度のところで決めていかないと、1日タナ取りで終わってしまいます。ただ、エサを打ち込む位置を決めたら、必ず周囲のタナはしっかりと把握することです」

「エサはこういう感じ」
 と、手前の水面に投げ込まれたダンゴはすぐに水面へと浮き上がり、そこから横方向へと「ジワッ」とバラけ始めた。そして、しばらくすると「ボワッ」とその広がりを拡大しながらゆっくりと沈み込んでいく。

「こういう風にサスペンドしないとね」

この「軽さ」で活性が低いへらに強く反応させるのだ。そして、エサはとてもまん丸。さらにはハリ付けの際、ハリはエサのセンターへと埋め込まれるがチモト部分を整えることなくこの丸さを維持する。

「こうすればエサが均等にバラけるでしょう。均等にバラけないとエサの状態を判断することが出来ない。チモトを整えて角張らせてしまうと、そこから水分を吸収してしまい落ちてしまうこともあるしね」

ボウルの中のエサを完全にそのままの状態で打つことで、より正確なタッチを探っていくのだ。こうして吉田はストイックなまでにエサ合わせを追求していく。

そのとても綺麗に丸められたエサを打ち込む。
「どこの釣り場でもそうなんだけれど、一景のエサは3投でウキが動く。本当に不思議なんだよ。もちろん、釣れる釣れないは別としてだけど、どのエサにしても集魚力がもの凄いんだ」 そして、2投め。本当に「フッ」と 小さくサワられ、そのサワリは3投めにも続いた。
「ほら、もうなにかいる」

そこからウキはウケられ、「フフッ」と弱々しいもののサワられながらナジみ込んだ。
「だからこそ、一景のエサは打ち始めだからと油断することが出来ない」

こうしてすぐにウケが入るようになってきたが、そこからトメられることはなく、速くナジみ込んでしまう。
「やや上にいるみたいだね」

トップの付け根付近という高い位置でのウケ。これはさらに長くなってきた。まずは釣るための第1段階はクリアーしたということだろうが、そこから先がない。さすがにまだ時期尚早か、ウキの動きが段階を踏みながらよくなるという気配がまったく見えてこない。 やはり無理があるのだろうか? 周囲を見渡してもほとんど竿が立っていない。セット釣りでもそうなのだからダンゴならなおさらのこと。

へらの活性が低い状態でウケさせるために、基エサは「軽さ」を追求。
均等にバラけさせるために、エサはまん丸にハリ付けする。

1.「セットダンゴ」2 と、「底麩ダンゴ」1 の配合が軽さを求める場合の基本エサになる 2.粉の状態で撹拌 3.水は1という、配合的にもとてもシンプルだ 4.手を熊手状にして、まずは練り込むことなく20 回ほどかき混ぜる 5.かき混ぜた後、水分をしっかりと吸収させるために5分ほど放置 6.水分を吸わせきったエサを半分にし、ボウルの縁に擦りつけるように20 回ほど練りを加える 7.この練り込んだエサを基エサとして使用する 8.「バラケ具合を均等にするため、エサはまん丸に」というのが吉田のエサ付けである

ここで吉田が動く。「MB 荒麩バラケ」をひとつかみ、そして「手で揉み砕きながら」基エサへと振り掛け絡めた後、さらに20回ほど練り込み仕上げた。「まだへらの寄りが薄い」と、バラケ性を強めたのだ。

「この『荒麩バラケ』の特長はその名のとおり強力なバラケ性にある。そのために大きく硬い麩が配合されているから、ここでは意図的に細かく砕いたものを絡めてやる。そうしないとへらは強くバラけて漂う粒子ばっかりを追うようになってしまい、それではセット釣りのバラケと同じ状態になってしまう」

セット釣りはクワセを誤飲させるが、そうではなく、両ダンゴではあくまでもエサの核を食わせなければならない。だけにその手直しも一見大胆のようで、とても繊細である。が、思ったよりもウキは動きそうで動かない。

「軽さ」、「粘り」、そして「程よいバラケ具合」。この3点をうまく合わせていくことになるが、次に吉田が注目したのが「粘り」だった。少量の手水を打ち、「セットダンゴ」を1つかみ絡める。
「いやー、エサが膨らんでもバラけてもどうなってもいいんだけれど、食わせるための急所は食い頃のエサをきちんと芯残りさせること。そうしないとダンゴで釣ることは難しいからね」

しかし、これでもアタってこない。これは昼近くまで釣るのは厳しいかとなかば諦めていると、なんといきなりアタってきた。
「そうこなくっちゃ!」

吉田の目が一気に輝きを増した。
「かなりの上っ調子」

時々だがウキは大きく突き上げられることもある。かといって浅ダナにしても釣れないはず。上層にいるへらこそ粒子ばかりを追ってしまい、ダンゴを食ってくることはないだろう。ここは辛抱強く狙ったタナへとエサを打ち続けるしかない。が、ただ漫然と打つことなどダンゴマンの吉田がすることはなかった。

「まだもう少し粘りを出したい」と、「セットダンゴ」をひとつかみ絡める。ハリスを詰めるというアプローチも考えられるのだが、今はとにかくエサを合わせていくことだけに集中する。

しかしながら、ここからウキは3~4目盛のナジミ幅を見せる。すんなりと深くナジみきってしまった。それでもまだウケは出続けているだけに、アタってきてもよさそうなのだが…。早春においては、こうした「ほんの少しのズレ」が「まったく釣れない状態」へと陥ってしまうものなのだ。

ここまでを確認すると、吉田は「さぁ、釣るよ!」と、自分自身を鼓舞するかのようにひと声。そして以下の配合でエサを作り直した。

●「セットダンゴ」2、「底麩ダンゴ」1に水1。これに手水を打ち「MB荒麩バラケ(細かく砕いたもの)」1、「セットダンゴ」1

「MB 荒麩バラケ」多めでバラケ性を強めるが、バラけすぎてしまうと逆にウケられないため、「セットダンゴ」を配合することでバラケ性を抑え、なおかつエサの芯残りを強めていった。このエサで、ナジみきった直後に「チッ」と小さくアタってきた。残念ながらスレだったが、吉田は「もっとカラツンをもらいたい」と、まったく気にすることなくさらにエサを打ち込んでいく。

そこからウケられ、サワられながらも1目盛がナジんだ位置で「ツン」と落とされた。アタリは小さいが、これでついにダンゴを食わせることに成功した。本当に釣れた!

A. 吉田が次に求めたのは「MB 荒麩バラケ」の強力なバラケ性 B. バラけさせすぎては、へらは粒子ばかりを追ってしまい肝心のエサの核へと近づかないので、粗い麩を握りつぶし細かくしたものを振りかけていく C. 麩を全体的に起すように絡めていく D. これで一気にバラケ性が増す

A. 吉田が次に求めたのは「MB 荒麩バラケ」の強力なバラケ性 B. バラけさせすぎては、へらは粒子ばかりを追ってしまい肝心のエサの核へと近づかないので、粗い麩を握りつぶし細かくしたものを振りかけていく C. 麩を全体的に起すように絡めていく D. これで一気にバラケ性が増す

話題のニューブランド「一景」で釣る!! 軽さに程よいバラケ性を加え、さらには芯残りを強めて、ついにダンゴを食わせた!

ハリスの張り際アタらない…

ここからようやくウキの動きが強くなってきたが、それでもたやすく釣れるなどということはない。「フカフカ」と高い位置でウケられるだけで、ナジむとウキは静かになってしまう。この状態は1日をとおして変わることがなかった。ウケられるだけでアタることが少なくなってくると、ハリスを5cmずつ詰めた。狙うアタリは「ハリスの張り際のみ!」。吉田はどんな釣りでもいつでもこの1点で勝負している。
「自分の場合は、どんな時もこの位置でアタるようにもっていくの」

こうして早いアタリで釣っていかないと、例会でも勝負にならないのだ。

魚はいる。が、ウケは時に強く、時に弱くと一向に安定しない。これが季節の変わり目ということなのだろう。釣るための第1段階である「ウケ」を強く出し続けるために、吉田はエサへと手水を打ち、「セットダンゴ」を半つかみ絡めた。そして、すぐにもう1回と、苦心のエサ合わせが続く。

アタるがスレ。

エサの近くにいるが食ってこない。もうあと一歩というところ。それでもなんとか2枚、3枚と枚数を重ねていくのだから、大したものである。もうこれは吉田のダンゴマンとしての意地でしかない。
「これでも、なんとなく粒子を吸っているだけだよね」

気温は早朝のマイナスから一気に上がりもうすでに10℃を超し、さらに上昇している。へらは完全に「陽気をくってしまった」状態で、次第に、またしてもナジみ込みが速くなってしまった。もちろん、これではアタらない。

へらは粒子だけを吸っている状態。「セットダンゴ」を絡めながら、バラケ性を抑えウケさせることで、しぶとくアタらせていく

食い頃を持たせるしっとり感

「食い頃のエサが残っていない…」

そう感じた吉田は、「粘軽うどん」の強い粘り気を利用することをひらめき、残りのエサへとひとつまみをパラパラと振り掛け絡めていく。へらは間違いなくエサの近くにいるのだが、それがバラけた粒子しか追わない状態。当然、大きなダンゴのエサ玉など見向きもしない。というよりも吸い込むほどの活性がないといった方が正しいかもしれない。そこで、より小さなエサ玉の状態をハリへと芯残りするように手直ししてやったのだ。
「カチッ」

これでいきなりアタった。どんな厳しい状況下においても、必ず正解はあるのだ。いきなり鋭いアタリを連続し、ヒットする。そして釣れてくる型もいい。ここからアタリ数が倍増、いや3倍に増した。答えを見いだした吉田はすぐにエサを作り直す。

●「セットダンゴ」2、「底麩ダンゴ」1に水1、そして「荒麩バラケ(細かく砕いたもの)」1。これを手水で軟らくし「粘軽うどん」0.2

こうして、さらに小さく食い頃の状態をきっちりと芯残りさせると、今まではウキは動くがアタリにまでつながらなかったのが、ナジミ際にアタリが連発するようになる。
「もうこれだけ暖かくなったんだからダンゴですよ!」

早春のダンゴエサは、ウケさせるために比重は軽めにし、寄せるためにバラケ性を強めて、最後に食わせるために粘り気を出すのだ。

吉田が「より小さな状態で持たせるため」に選んだのは、クワセエサの「粘軽うどん」の強力な粘り気だった

吉田が「より小さな状態で持たせるため」に選んだのは、クワセエサの「粘軽うどん」の強力な粘り気だった

さらに小さく芯残りさせアタらせる!

しかし、当然ながら「接点」は極めて狭い。こうして強くウキを動かすだけではなく、エサを微調整しさらに絞り込んでいかないとアタってはこない。
「水も素材のひとつ!」

吉田は最後の決め手とばかりに、エサへと手水を打ち、さらにしっとり感を強めたのだった。
「もうそこそこ合っているくらいでは釣れないんだよ。こうしてしっとりさせエサのエアーを抜くことで、上層に居着く食い気がないへらがエサへと飛びつかないようにする」

こうしてエサが無駄にバラけさせられないようにし、そして1目盛というアマいナジミ幅を出す。これよりもナジんでしまうとまったくアタってこないだけに、持つかもたないかというギリギリのラインを攻めに攻める。

吉田は最後まで諦めることなく、本当にしぶとく、流源湖の大型べらを両ダンゴで仕留めていくのだった。

毎月第1土曜日に、千葉県柏市にある清遊湖において、吉田新太郎アドバイザーが講師を務める「一景エサ教室」が絶賛開催中!

毎月第1土曜日に、千葉県柏市にある清遊湖において、吉田新太郎アドバイザーが講師を務める「一景エサ教室」が絶賛開催中!